
【休職を選んだ職員さんとの面談から考えたこと】
こんにちは、大須賀です。
とても大事な気づきがあったので、
あえて文章にしてみたいと思います。
先日ある会計事務所の職員さんと面談をさせていただきました。
その方とは、これまでに一度だけ研修の場でお話しした程度。
今回が、ほぼ「初めまして」に近い関係性での面談でした。
ただその方は、すでに所長先生と相談されており、
近々「休職」を選ぶことが決まっていたんですね。
体調を崩されたということで、
特にメンタル面での疲労が大きかったそうです。
そうした状況の中で、
「最後に少しだけお話したい」と私にお声がけをいただき、
所長先生のご配慮もあって時間をいただくことになりました。
その時間を通じて私が感じたこと。
それは「一見、環境が整っていても、人は“心”の部分で疲弊してしまう」という現実と、
「会計事務所という環境が、意外とメンタルに負荷をかけやすい構造になっているのではないか?」という問題意識でした。
今日は、その気づきを皆さんと共有できればと思います。
#環境は整っている。でも「疲れた」という声
今回面談させていただいた会計事務所さん。
実は、私が1年ほどご支援させていただいている事務所さんで、
所長先生も非常に前向きで素晴らしい方なんです。
しかも──
・顧問単価は高めで(9割の顧客で時間売上1万円を達成)
業務の付加価値もしっかりある
・リモートワーク体制も導入済み 週1出社。
・ツールを活用した効率化も進んでいて、生産性は高め
──という、数字的にも客観的にも「優良」と言える事務所さんでした。
でも、それでも「心が疲れてしまった」という職員さんがいる。
これは単に「個人の問題」と片付けられないなと感じました。
#会計業界は“メンタル負荷の高い業界”?
そもそも、会計事務所で働く方って、
かなりの確率で「頭のいい人」が多いです。
税法や制度の理解、数字の扱い、ロジカルな思考──
求められるスキルの大半が、IQ的な能力に寄っているんですよね。
実際、難関資格である税理士試験を突破するような方々です。
ある種、“自分に厳しく”“ストイックに頑張ってきた人”が集まりやすい業界でもあります。
でも、裏を返せば──
そういった「論理的な能力が高い人」ほど、自分や他人に対する「許容度」が低くなりがちなんです。
・ミスしてはいけない
・迷惑をかけてはいけない
・仕事は完璧でなければならない
そんな“ねばならない思考”が強くなっていきます。
もちろん、こうした責任感の強さは大きな武器です。
でも、それが“過度”になると、自分を追い詰めてしまいます。
たとえば──
・ちょっとしたミスが、自分の全否定に感じてしまう
・他人の失敗にも寛容になれない
・完璧を求めすぎて、誰にも相談できなくなる
結果的に、周囲からは「真面目でしっかりしているように見える」けれど、
本人の心の中では、「自分がダメだ」という思いが渦巻いている。
まさに今回の職員さんがそうでした。
#組織として「ミスが許されない空気」になっていないか?
私が組織づくりでいつもお伝えしていることのひとつが、
「ミスを許容できる組織風土を、意図的につくる必要がある」
ということです。
もちろん、チェック体制は必要ですし、再発防止の仕組みは整えるべきです。
でも、「ミスをゼロにしなければならない」という空気感が蔓延してしまうと、
現場は“息が詰まる”ような空間になります。
すると──
本来なら自分で処理できるストレスが処理できなくなり、
その積み重ねで「もう無理」となってしまうんですよね。
だから私は、こう伝えました。
「休むことは“逃げ”じゃない。むしろ“未来のための戦略”だと思う」
ということでした。
今、少し休むことで、もしかしたら数ヶ月後、
再び元気に復帰できるかもしれない。
でも、無理して働き続けたら、
回復に1年、2年、それ以上かかることだってある。
そのリスクを考えたら、
「ちょっと止まる」選択をするのは、むしろ素晴らしい判断だと思うんです。
メンタルが追い詰められてくると、視野が極端に狭くなります。
選択肢がなくなってしまうんです。
でも、他人から見れば、
「そこまで頑張らなくてもいいのに」
「もっと他の道もあるのに」
「この人、本当はもっとできるのに」
という状況も、本人は気づけません。
だからこそ、外部の誰かが──
第三者が、フラットな視点で寄り添い、「選択肢があるよ」と示す必要がある。
私は、キャリアコンサルタントとして、
そうしたサポートをしていきたいと改めて感じました。
私自身、過去に多くの失敗をしてきました。
仕事が回らずに上司に迷惑をかけたこともあるし、
後輩との関係がうまくいかなかったこともある。
でも、その度に誰かに支えられて、前に進んできたんです。
だからこそ、今、苦しんでいる人がいたら──
「助けてあげたい」って、心から思うんですよね。
#面談はただの“確認の場”ではない
この面談を通じて、改めて気づかされました。
私は、「職員さんと話すことが好き」なんです。
現場で働く人の悩みや思いを聞くことで、
その人にとっても、事務所にとっても、より良い方向に進めるヒントが見つかる。
所長先生との打ち合わせも大事ですが、
現場の声を拾い上げることも、もっと大事にしていきたいと感じました。
今回の職員さんが、面談の中で何度も口にしたのは、
「この事務所が本当に好きなんです」という言葉でした。
だからこそ、無理をしてしまった。
だからこそ、休むことに罪悪感を感じてしまった。
でも私は、その「事務所を大事に思う気持ち」が本当に素敵だと思ったし、
「そんな人がいる組織は、きっともっと良くなる」と感じました。
もちろん、今回のことは、組織としても受け止めるべき出来事だと思います。
・所長先生の思いが伝わっていたのか?
・業務の負荷が偏っていなかったか?
・心理的安全性はあったか?
こうした観点から、改めて見直す機会にしたいと思いました。
休職は、決して「悪いこと」ではありません。
でも、「誰もが安心して働き続けられる組織」を目指すなら、
そこに“組織としての学び”が必要だと思うんです。
最後に
会計業界は、誠実な方が多いです。
だからこそ、自分を追い込んでしまうこともある。
「頑張る」って素晴らしいことだけど、
「休む」という選択も、もっと肯定されていい。
そんなことを、今回の面談を通じて、強く思いました。
そして、また一人でも多くの職員さんが、
前を向いて働けるようなサポートをしていきたいと、改めて感じました。
もし、今この記事を読んでいる方の中にも、
同じような悩みや課題を抱えている方がいれば──
ぜひ、一度ゆっくりお話ししてみませんか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
良い一日をお過ごしください。
※このコラムはFLOWの大須賀のFBより抜粋しています。
お友達申請お待ちしております。